ウィリー、ウィリー、きみの名は、
あおば

                      2007/07/14



バイクの前輪を浮かせて走るのがウィリー
恰好いいだろうといわれて
そんなにねぇーと思ったが
50ccでは
雑誌の写真のようには持ち上がらない
平らなところでは浮かないので
斜面を狙う
勢いを付けて駆け上がる
ジャンプする瞬間
ふわりと浮かんで
どすん がしゃんと
五寸釘を打ち付けるような嫌な感じの音がして
前から落っこちて
つんのめりそうになり
からだごと前輪に預けて
なんとか衝撃に耐えた
失敗ジャンプでも前は持ち上がる
しかし、それはウィリーではないと考える
本物のウィリーは出来ないものかと考える
パワーのあるバイクに乗ればできるだろうと
重たいバイクを借りてきてアクセル吹かしてみたけれど
持ち上がらずに後輪が空転
白い煙をまき散らし
あっというまに360度ターン
俗に言うアクセルターンの出来上がり
面白いので繰り返していたら
人が集まってきたので慌てて逃げる
逃げ足だけは速いのはバイクの特徴で
追いかけてくる人は居ない

1人になって考える
ウィリーとは人の名かな
それとも形容詞かな
疑問を持ったがそのままにして
それ以来
気のいい顔して過ごしてきた
今でも人の名のような気がするが
もうどうでも良くなって
ウィリーもジャンプもできないオートマチックの車を避けて
狭い道をとぼとぼと歩いてる

台風の通り道とも呼ばれる細長い国土では
大型バイクでウィリーするのは危険だよと思っていたが、
とうとう
100馬力規制も無くなるようで
国産車も200馬力時代を迎えるのかなぁーと
そうなると、ウィリーができるどころか
反対に
前輪が浮かないようにアクセルを開ける工夫が必要で
上半身を思いきりリラックスして
前屈し
下半身から腰へと後輪の加速の意識を預け
カタパルトから放たれる戦闘機のような
弓から放たれる矢のような感覚で一直線に加速して
前輪は接地したまま走らせる強い意志が必要だ

油断するとあっという間に浮き上がる

いつでも好きなときにウィリーができる時代になって
ウィリーしないように走らせなければならないとは
水不足のときの雨台風のようで
有り難いけど降りすぎる
大風も要りませんが
ウィリーって
歩いている人の傘を吹き飛ばすのが
大好きなのだと今、気がついた



自由詩 ウィリー、ウィリー、きみの名は、 Copyright あおば 2007-07-18 09:09:33
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