月経
山中 烏流
スカアトを持ち上げたわたくしの
内股を流れおちる、それは
ルビイのやうに光り輝いておりまして
わたくしの声を
ただの吐息としてしまいます
生まれでる前に
終はりを迎えたいのちが
恍惚と消えゆくさまは
それはそれは
美しいのでございまして
床に溜まりを作るほどに
溢れ、流れたルビイの雫は
わたくしの瞳を見やると
罪を数えるかのやうに
新たな雫を跳ねさせては
波をうつのです
形を成す前に
殺めたわたくしのことを
じつと、睨んで
罪悪感を
覚えさせようと、
手を離し、落ちたスカアトが
それに触れ
物々しい赤に染まるのを
わたくしは止めることもせず
ただ、眺めております
罪の色に染まる
わたくしの一部を
うつとりとしながら
ただ、眺めております
愉悦を感じる脳を
何処かで侮蔑しながらも
わたくしは、ずつと
微笑んでいます。