ですだった
楠木理沙

実は好きだったんだよ

照れくさそうに 懐かしそうに 君は言った

嘘だあ 

私は 水分が足りなくなった喉元から 乾いた笑い声をひねり出した



好きです 好きだった

この変わり目は 一体どこにあったんだろう

わからないし わかりようもない

ただ それは確かに存在していたのだということ 

それだけなのだ

ですからだったに飛び移るとき わたしたちは一歩大人になる

これまでも これからも その繰り返し

それだけなのだ



君に釣られてこぼれそうになった言葉を

ペットボトルに一口分だけ残っていたアクエリアスと一緒に飲み込んだ

ぬるくて 妙に甘酸っぱくて ざらざらとした感触だけが舌に残った

気づくと日差しは厳しさを増していて 額からこぼれた汗が目に入った

眩しすぎて 痛々しくて わたしは 泣きながら笑った


自由詩 ですだった Copyright 楠木理沙 2007-07-18 04:54:40
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