ビューティフルオブデス
花山草太郎

今の屠殺場は、とてもオートマチックにできている

クレーンとベルトコンベアがチャッチャッチャッで豚も牛もバラバラさ

でも鶏だけは違うんだ

立派な「とさか」を持つヤツなんかは芸術品だから、ぱりっとしたスーツの職人たちが目を閉じて

冥福を祈りながら羽を折るんだ

それはそれは見事なものだよ

美しいんだ

西日が差す真っ赤な工場に、ドレミを置いて逃げてきたようなパイプオルガンの音が響くんだ

ガーンガーンてね

美しいんだよ

穏やかに生まれたのなら暴力的に死ぬべきなんだ

俺には生憎と「とさか」は無いが、死ぬならせめてあの職人たちに殺して欲しい

無菌室でもいい

バックミュージックはラジオでも構わない

鶏を見るような目で俺を見て欲しい


未詩・独白 ビューティフルオブデス Copyright 花山草太郎 2007-07-18 02:16:06
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