偏光
THANDER BIRD

水を描こうとすると
モチーフがうまくつかめない
ただただ手を濡らすだけで
画用紙は白いままだった
だから僕は画用紙を水に浸して
水を描いた

コップの中の水の
揺らめき
覗いてみたら
魚が跳ねた
僕はそれを掴み損ねてしまったので
一気に水を飲み干した
おかえりと一人つぶやいた

水平線のその先の少女と目が合ってしまったものだから
僕がにっこり笑ってみると
少女は少年にパッと変わってしまった
夏の暑い日だった

飲み干した水のあまりのしょっぱさに
僕は涙ぐみ吐き出しそうになってしまった
少年と少女と魚は
コップの外側から歪んだ顔でずっと見ている



自由詩 偏光 Copyright THANDER BIRD 2007-07-18 01:04:31
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