みどり よびこ Ⅱ
木立 悟
すれちがいたち
ひびきたち
ある日ふたたび
はじまるものたち
雨のなかの火
海辺の火
生きものに囲まれ
朝の霧を燃す
髪の毛から見える
耳の応え
ひらいた窓の大きさに
夏と青はのぞきこむ
蜘蛛の巣を聴き
雨の穂を聴く
震えるもののむこうには
震えのかたちの羽がある
三月の波が
島の影に隠れる
迷いけむる生きものが
音も無く吼え 沈みゆく
空の水と地の水が
互いを指しては午後になり
木蓮を降り
木蓮を昇る
自由詩
みどり よびこ Ⅱ
Copyright
木立 悟
2007-07-17 22:31:19