ピカロ(水のこと・その2)
一般詩人-
「僕の知らないところで音が生まれ、消えてゆく、それが悲しくて」
水がしょんぼりと肩を落とす
喫茶店の2階テラスで
心臓の鼓動みたいに
雨粒が弾ける
音が聞こえない
窓のむこうのことだから
ほら、雨、あがるよ
ほら、見てあげなくていいのか?
俺は水のことをピカロと呼んだ
他でなんと呼ばれているかは知らないが
ヤツのことはそう呼ぶしかないじゃないか
ピカロ
飛び出す
傘も持たずに
お前はそばにいつづけなくちゃだめだ
音が生まれて
死ぬ瞬間まで
そばにいて
ピカロ
そのときは泣くなよ