雨の季節
橘 睡樹
通りすがった人の影さえ 淡い灰色の靄が掛かる
雨の季節 憂欝な空
直ぐに思い出せるのは
雨に混じったすいかずら 少し濡れた夏服
君が差してる青い傘
放課後の音楽室から 君の帰る姿を見ていた
真直ぐに伸びた背筋
綺麗
思った途端に 硝子のような雨粒が弾ける
記憶の中さえ モノクロームの世界
雨の季節 陰欝な空
だけど君だけは鮮やかで
恋をしていたと気が付いたのは
ずっと大人になってからだった
未詩・独白
雨の季節
Copyright
橘 睡樹
2007-07-17 02:39:46