創書日和「星」 乗星
山中 烏流
空と宇宙の間
光る尾を引いた
星の欠片に、乗る
本当は
光ってるんじゃなくて
燃えているということには
知らんぷりをして
指で作ったカメラで
シャッターをきる
閉じ込めた景色を、そっと
アルバムへとしまう
太陽までもを
閉じ込めたアルバムは
少し、熱を帯びて
私の手の中で
すやすやと眠っている
地上にたどり着く
ほんの少し前に
空から見上げた空を
撮りたいと思った
どこまでも伸びる蒼は
星の尾を引っ張って
私が、地上へ降り立つのを
許そうとしない
(刹那
(かしゃり
(丸く広がる空を
(独り占めする
燃え尽きる寸前の
小さな欠片から、私は
着地音をたてて
地上へと帰還する
ありがとう、と
軽く撫でてやると
欠片は淡く輝いたあと
砂となって
消えてしまった
その瞬間にも
シャッターはきられる
一粒一粒に反射する光が
私の瞳をそっと
見詰めていく
手を伸ばしてみる
そこに、望んだものは
なかった。
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