かなしいうた
ゆるこ
狼のように
ばっくりと口を開き
世界中の悲しみを吸い込めたら
どんなに平和だろうか
夏の夜に
ふと気づくと手元にある
一枚の折り紙は
すやすやと寝息を立てて掌にすっぽりと収まった
駆け出したばかりのギターが
全ての弦を無くして帰ってきた
どこで喧嘩をしたのか
眸は酷く濁っていた
小さな女の子が
飛行船を手に入れた
ヘリウムガスは透き通って
女の子の小さな胃の中に吸収された
梔が咲くころ
私はどこで呼吸しているのだろうか
無機質に文明の物と向き合っていると
そんなことばかり考える
明日は晴れるといいな
きっと全て
拭き取ってくれるさ
そうしてパタンと
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