かなしいうた
ゆるこ

 
 
狼のように
ばっくりと口を開き
世界中の悲しみを吸い込めたら
どんなに平和だろうか
 
 
夏の夜に
ふと気づくと手元にある
一枚の折り紙は
すやすやと寝息を立てて掌にすっぽりと収まった
 
 
駆け出したばかりのギターが
全ての弦を無くして帰ってきた
どこで喧嘩をしたのか
眸は酷く濁っていた
 
 
小さな女の子が
飛行船を手に入れた
ヘリウムガスは透き通って
女の子の小さな胃の中に吸収された
 
 
梔が咲くころ
私はどこで呼吸しているのだろうか
無機質に文明の物と向き合っていると
そんなことばかり考える
 
 
明日は晴れるといいな
 
きっと全て
拭き取ってくれるさ
 
そうしてパタンと
閉じる携帯


自由詩 かなしいうた Copyright ゆるこ 2007-07-15 11:48:26
notebook Home