つぎの沈丁花
コトリ
沈丁花から紫陽花まで
わたしの一番すきな春をきりとって
そのひとは去っていった
つぎの春には待ち合わせ
さらさらと
つかみどころのない夏を
どうにかすくいあげて
秋の夕暮れを長すぎると言わないで
ひとひらの雪を
手の中につつみこんで
沈丁花が香らないように
閉じ込めて
閉じ込めて
指と指のあいだをきっちりくっつけて
つぎの沈丁花は待ち合わせ
つぎの紫陽花は知らないひと
閉じ込めて
閉じ込めて
自由詩
つぎの沈丁花
Copyright
コトリ
2007-07-15 01:44:23