伏し目
唐草フウ

雨の降りそうな赤い夕立前に
背中だけ次々落ちてきた
それはいつも誰か
夜の底辺、まどわされる時間へ
ふかした歌を染み付かせていて くたびれていて

もう煙らないんだ
もう静まないんだ
 ぐれーのくるま、 青いスポーツカー、軽、くい違いのタートルネ
 ック、つぶれかけたレゴブロック、かわかない服の旗 翻る
 時報
時報よりも先に 流れる
中の人はすべてキミドリいろの服を着ている
僕にはそう見える

背中をどのくらい集めて
どのくらい撥ね退ければいいの
ひろげるのはどっち
約束なんてしてなかったよ、誰とも

電灯より夕焼けが勝った
どれだって明るくなれば一緒さ
いつかくるブレーカー落下
ライトのかたちをしていきり立つ

指から焦って出てきたものはナアニ
ぼたぼた落ちてきたものはナアニ
その指で撮って瞬間
風の向きがほんのちょっとで人の気さえ変えてしまうことを
だから今夕も僕は目を伏してる



自由詩 伏し目 Copyright 唐草フウ 2007-07-14 08:14:34
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