無感情の花たち
結城 森士

だから君は裂けた無花果の散乱した道を
歩いていった

もう少しで笑ってくれるのだろうか
それとも僕に気づかずに去っていくのだろうか
(いつも見ないふりをして)
だから僕は君を見ないふりをして
見ないふりをして

ある日は
綿毛が飛んでいた
ササウチワの白い花の続く道を
君と一緒に歩いていた
神社につくと
君は君ではなくて
狐に変わっていた
もう少しで笑ってくれたのだろうか
それとも僕に気づかないふりをして誤魔化し続けただろうか
だから僕は君を見ないふりをして、
見ないふりをして

去っていった君は
僕達が歩いてきた道のりを
その一本道を
陽炎の様に消して
去っていった(君は)
見ないふりをして

だから僕は無花果の花を潰した


未詩・独白 無感情の花たち Copyright 結城 森士 2007-07-12 12:55:45
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