死体
たけ いたけ

帰る 帰るよ
と言って
やっとで戻ってきたのは
二羽のアゲハチョウ
母は泣き続けて
二日後に命が崩れた

幾百のコバエが家屋から飛び去り
雨戸は裂傷し
静脈血を纏った鳩が2羽
黒ずみでたっぷりと濡れた羽で
真っ白な画用紙の空を
別々に飛んでいった

残された白骨は
自ら組みあがり
小さなジャングルジムになった

夕刻には
小さな男の子が登り
空との会話を始める
若い母親は見守る
妄想を見続け
ひとつの変わり果てた幸せの上で
新しい淡い幸せを貪る
その地べたでジャングルジムは
彼らの事件をじっと待っていた

陰になって黒ずんだ
背の低いシロツメ草が
風に揺さぶられ
ひどく ゆれる ゆれる


自由詩 死体 Copyright たけ いたけ 2007-07-12 12:35:20
notebook Home