五線譜からの囁き
渡 ひろこ
五線譜に引っかかっている
音符をひとつ
つかんで
鍵盤に落としてみた
小さく高く弾んで
涙のしずくに
変わってしまった
やさしく
なにか語ってくれると
思ったのに
もうひとつ落とすと
黒鍵をかすめて
溜め息をついた
もっと聴きたくて
パラパラ落とすと
トリルのようにころがって
ひとりは嫌なの
と囁いた
(わたしも嫌・・・)
淋しくないよと
おもいきり全部
鍵盤に降りそそぐ
いつのまにか
音符が
やわらかな音色に変わった
自由詩
五線譜からの囁き
Copyright
渡 ひろこ
2007-07-11 19:58:32
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