明日になれば
恋月 ぴの

ちょっと足らないだけだものね
八時二十分を指している
あなたの眉毛の上に
ボールペンかざしてあげる

いざ出かけようとしたら
小糠雨降り出して
傘を差そうかどうしようか
迷うのにも似ているよね

ちょっと足らないだけ

それが問題なんだからと
あなたは不機嫌そうに吐き捨てた

でもね
傘を差さずに歩くのも楽しい
今の季節なら
雨に濡れた緑が歌いだし
雨を待ちわびた生き物たちが動きだす

傘を差しても防げないのなら
そんな景色を楽しもうってことかな

こころの中で差した傘を閉じて
やせ我慢には
さようなら
辛さと幸せの違いって
ちょっと足らないだけ
生まれ変わるなんて出来ないのだから

そのちょっと
わたしの思いで満たしてあげる


自由詩 明日になれば Copyright 恋月 ぴの 2007-07-10 22:37:08
notebook Home