14.06発
茜井ことは


バス停で、バスを待った
ついでにあなたも待ってみた
落ち椿がアスファルトに色をつける季節
中途半端な寒さをからかうために
あたしの背筋はピンと伸びる


ゆっくりとバスがきた
あなたはどうしても見えなかった
目を凝らすほどに
現実にしか存在させてもらえないような
曖昧な時季の光景ばかりがとびついてくる
マフラーや白い息はもう見えない
紅色の絨毯を踏みしめながら
冬がサヨナラを切り出そうとしている


バスの扉に触れたなら
軽い静電気が指の上ではじけるでしょう
それなのに
冬の色は長袖だけって
ちっともロマンチックじゃないね




バス停で、バスに乗った
ついでにあなたを見送った









自由詩 14.06発 Copyright 茜井ことは 2007-07-10 13:43:18
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