明くる日と手
木立 悟




血のように黒い
指の影をひらき
高みへ 高みへ
唱いゆく


曇は一度に
ふいに動く
灰と火の路
同時に迷う


切りきざまれた星が
自らかけらを積み重ねたとき
想いとあまりに異なる姿に
朝を忘れて哭きつづけている


輪はめぐり 歪みながら
歪みを意味する言葉となって
つらなり かがやき
溶けることなく重なってゆく


おぎない あがなう笑み
うすく静かな幸せには
覆いきれない隔たりを知る
小さなものを失くした後で


進み かき分けるたびに野は凍る
足跡につもるかけらには
血と空と土が消えては現われ
涙と声が虹をつくる


常に冬である生が
遠く地と水を描き足してゆく
もどらぬものがもどらぬことを告げながら
夜明けはまぶしく手わたされてゆく


















自由詩 明くる日と手 Copyright 木立 悟 2007-07-08 22:19:28
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