「人人」
青の詩人
信じること 信じられること
人のそばに いつも言葉があって
認めること 認められること
言葉のそばで いつも耐え忍んでいて
言葉は大切なのだけど
心が言葉と一致しない場合
その人は信じられず
もはや人のそばに言葉はなく
言葉は大切なのだけど
心と言葉がちがうとき
その人は認められなくて
もはや言葉のそばで耐え忍ぶことはできず
ぼくらは人偏の真横に心を置くべきで
ぼくらは心の真横で耐え忍ぶべきで
でもその新生漢字さえも
信じられなくなったとしたら
人は何を信じるのだろう
人は誰に認められるのだろう
それは
ぼくの場合 空だったり 風だったり 景色だったり
音楽だったり カレーだったり シャワーだったり
猫だったり シャクトリムシだったり するわけで
空がつきぬけたのはきっと 君のおかげで
でも君はそれを知らなくて
知ったとしても景色ではなくて
そう思うってことは
ぼくも君を猫だと思ってないかもしれなくて
やっぱりぼくらは人であって
空にも風にも景色にも
音楽にもカレーにもシャワーにも
猫にもシャクトリムシにもなれないから
人として
何かの真横にいるべきで
ぼくが思いついた新しい文字は
「人」がふたつ並んで
「しんじる」と読む文字
(「人人」より)