水母
黒子 恭

お前のやはらかさに埋もれて死にゆくなら
それでも良いなと
硝子越しに
笑う人間らしい貴方
 
ただ揺られて生きるのみのわたくしなどは
あすはるとでは
直立できないと言うのに
 
見つめ合う
四角い箱の海と
少し無機質な地上の大気が溶けて交じり
くちづけでも出来たら
わたくしたちは
どんなに一つになれたか
 
ああまた揺らされてしまう
 
蒸せ返る瞳と瞳の
浸透圧に
押し敗けて
 
お前のやはらかさに埋もれて死ねるのなら
それでも良いなと
硝子越しに
 
貴方、愛は溶けませぬ
わたくしなどは
あすはるとでは
直立出来ないのですが
 
貴方、愛は
愛は死にませぬから
わたくしなどに
埋もれなくても良いのです


自由詩 水母 Copyright 黒子 恭 2007-07-08 02:43:56
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