水母
黒子 恭
お前のやはらかさに埋もれて死にゆくなら
それでも良いなと
硝子越しに
笑う人間らしい貴方
ただ揺られて生きるのみのわたくしなどは
あすはるとでは
直立できないと言うのに
見つめ合う
四角い箱の海と
少し無機質な地上の大気が溶けて交じり
くちづけでも出来たら
わたくしたちは
どんなに一つになれたか
ああまた揺らされてしまう
蒸せ返る瞳と瞳の
浸透圧に
押し敗けて
お前のやはらかさに埋もれて死ねるのなら
それでも良いなと
硝子越しに
貴方、愛は溶けませぬ
わたくしなどは
あすはるとでは
直立出来ないのですが
貴方、愛は
愛は死にませぬから
わたくしなどに
埋もれなくても良いのです