包まれて
soft_machine

水はグラスに包まれ
グラスは両手に包まれ
あなたを包むのは誰ですか
水が包むのは、何

泣いているのは
瞳だけ幼い老人
その掌に
日溜まりのような優しいぬくみ
その額にま新しい水を注いで
泣いている
枯れながらも匂いをなくさない花を

あなたは、ふと考えこんで

それから、また忘れて
あした窓からくる朝のひかりが
眉をわたす橋を掛けるだろう


 お前、もう、枯れるね
 水は汚れ
 花器にも拒まれ
 お前、死んでしまうんだよ

 とてもきれいだ
 あと少し
 夕日で光った姿を
 描かせてくれ


あなたの胸の痣
壊れた虹の筆先にひたし
何度も、何度も想い出を重ねた

人は花に包まれ
花は世界に包まれ
遠くにあるのは、海
あなたが駆けてゆく海



自由詩 包まれて Copyright soft_machine 2007-07-07 18:36:44
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