DRIVE
塔野夏子

この夜に砂糖とミルク少々を入れて
掻き混ぜて飲み干すんだ
――君 何処へ行きたいか云ってくれ給え
ラズベリィの憂愁に
しなやかさの極みの鋭さを閃かせ
僕らを駆動する
僕らが駆動する
ひずんだ風を連れて
軽合金の天使たちに素敵な悲鳴を上げさせるんだ
濃緑の空ではお月さまが
またたくまに次々と自己複製して
ラインダンスをはじめてる
     この日頃どうも不機嫌だったのだ
     白っぽい中空に浮かぶ広告気球ばかりを
     乾いた窓から眺めていたのだ
     君のその不埒な目つきをふと思いだすまでは
あやしく薫り立つ液状の虹を
そこらじゅう自由自在にうねらせるんだ
――君 何処まで行きたいか云ってくれ給え
お望みとあらば
やがて来る筈の夜明けさえ
出し抜いて御覧にいれよう!



個人サイト「Tower117」掲載





自由詩 DRIVE Copyright 塔野夏子 2007-07-07 18:28:20
notebook Home 戻る