好きな詩
楢山孝介

毎日詩を書いていると

お、
いい
好きだ
大好きだ
これは傑作だ
これは後世に残るぞ
いろんな言語に翻訳されるぞ
もうこれ以上のものは書けないぞ

なんて思う時が稀にある
月に三度くらいある
月末に見直してみると
いいことはいいけれど
傑作というほどでもなかったり
もうどこがいいのかわからなかったり
これはむしろつまらないな、と思ったりする

だけど案外
何でこんなの書いたんだっけ
というようなものが
後々見ると出来が良いように見えたり
他人にも評価されたりする

自分の好みというものは
これまで読んできたものや
見てきたもの経験してきたことに影響を受けている
自分の書いたものを好きにってしまうということは
何かから無意識的に影響を受けた、
「好み」の寄せ集めでしかなくなってしまった作品を
それで良しとしてしまっているのだ
そうして出来上がったものは
具体的に作品名をあげられなくても
どこかの誰かが
既に書いていそうなものに見えてくる
書き上げた直後はそれに気付かない

だからといって
今まで読んだことのないような
これまで思いついたことのないようなものばかり
書こうとしてもがくと
苦しみ過ぎて寿命を縮めて
死んでしまいそうになるので
何かからの影響が顕著なものは
後で大幅に書き直す、といった程度に留める

だからといって
自分の好みから離れた作品が
いいものになるとも限らないので難しい
今のところまだ
僕の書いた詩がどこかの国の言葉で
翻訳されたという話も聞こえてはこない


自由詩 好きな詩 Copyright 楢山孝介 2007-07-07 12:24:18
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