ホントウノコト
soft_machine


ほんとうのことは
今俺がお前の中にいること
どれほど身体すり減らしているのか
知りながらお前は綺麗な眉をひそめて
お前の中の俺を撃ちつづける
挟まったフライドチキンを爪楊枝で遊ぶ
この無邪気な柔らかい胸で鳴きたい
雨粒の中さかさまの世界にいて
地面に落ちるまでの束の間
夢を語ることば
本当のことは
知ってるよな海がばらばらになっても
俺達の雨をみんな受けて
俺達の月だって砕いて
悪魔の墓標に
正義が記されてるってこと
一度でも殺したことがある者が
どこかの山奥で抱き合おうって
子どもたくさん作ろうって
俺達の残酷な恋が
俺達の上手な嘘が
何もかもを
燃やし続けること
愛を描く
一度でも裁いたことがある者の
本当のことは
ほんとうのことは
俺達の他に支える者がいるはずもないこの部屋で
ずっと雨はこのまま降り続けること
夜はせめてこの夜のままであること
殺したいはずの愛を重ねる男が人を
裁かないと痴れる夢を育む女と人を
人はきっと撃ち続けなければ殺されるから
ふたりで眠って同じ夢が現れるまでずっと
そんな理由だけで食っていられる
お前はこの赦された世界が好きで
俺は束の間生き残るためだけに筆をとる
お前を描かないと消えてしまいそうだから

なぜって
俺達のほんとうは
何ひとつ知らない
ほんとうの本当のことを
本当のことは






自由詩 ホントウノコト Copyright soft_machine 2007-07-06 22:24:16
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