せかいう
石田 圭太
さようなら
さようなら、
空を
じっと
眺めている
百千万の兵隊が
降り注いでいる
擦り鉢状のせいめいに
朝が、
手渡されている
擦り潰すのならば
朝、
擦り潰すのならば
混ぜ合わさった体液の
おはよう
彼女の乗った車はまだ
遠くの方に見えている
かぼそいものを
よく
見分ける目を持った少年が
おはよう
光が
手を叩いて、
せかいでは
それをくうかん
と
呼んだ
遠くの方に見えている
おはよう
おはよう、
これまでの
流れる息子を眺めている
暮れる光の窓がする
明くる夜の星がする
細長い腕を
細長く、
さも細長そうにして
眺めている
クラップ、
彼女が
手を叩いて
さようなら
じっと
眺めている
球形の青みがかった空を
せいめい
せいめいと、
蹴り上げて
訪れる痛みに君がする
失われたイエロウの
光の折れる数がする