蝉時雨
雨宮優希



泣いて泣いてただ泣きじゃくって
目を腫らし鼻先赤くなんてして

泣き疲れ ふと夜空を見上げれば
そこには月だけが輝いてるから
僕はまた 泣いた


静寂だけが包み込む世界で
夏の気配を感じたのは何故だろう
意味もなく頬を濡らしたのも また

何時かの記憶が僕を縛り続けるなら
あの公園で君とまた待ち合わせしたい
あの日に戻りたいなんて
言わない 泣かない


君の言葉なら蝉の声に紛れて
僕の言葉なら雨の匂いにはぐれた
想い出のなか迷子になったまま
季節だけが繰り返す


泣いて泣いて ただ泣きじゃくって
嗚咽たらして 唇噛みしめて
世界は静寂に包まれ
泣き疲れたら また夜空見上げて
そこに月だけが輝いてるうちは
また 泣いてもいいだろう





自由詩 蝉時雨 Copyright 雨宮優希 2007-07-06 05:55:41
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