【七月の夜 木をつつく】
つむじまがり

雨上がりの空に 
星は出ていなくても
月は出ていた

私は鼻歌を歌っていたけれど 
自転車が接近してきたので
鼻歌はやめた

不意に
私の中から勢いが消えている事に
気がついた

私は乗るべき波に乗れなかったのだ
乗るべき電車に乗れなかったのだ
乗るべき話に乗れなかったのだ
最後のチャンスは過ぎ去ってしまった

そう思うと 
やるせなく 
やるせなく

月を見上げた




月を見たかった訳ではなく、上を向いていないと
こぼれ落ちそうだったから


不意に

傘で木をつついてみた
雫がこぼれ落ちてきた 
あとから 
あとから


自由詩 【七月の夜 木をつつく】 Copyright つむじまがり 2007-07-05 17:17:42
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