蛙と蛇
山中 烏流

アマゾンの原住民が
仕掛けたような罠に
捕らわれてしまったのは
随分と、昔の話
 
その2つの目に
見詰められた瞬間
僕は、息をするのも
忘れてしまって
 
一人では
生きていけなくなった
 
 
たまに
ちらりと覗かせる、赤に
更に魅せられて
離れることができない
 
しかしそれを見ると
僕の心臓は
どきどきと脈を速め
寿命を縮めてしまうから
 
これもやはり
罠の一つなのだろう
 
 
いずれ
食べられてしまおうとも
僕はいとわない
 
それすらも
愛だとして。
 
 
 
******
 
 
 
アマゾンの原住民が
仕掛けたような罠で
捕らえてしまったのは
随分と、昔の話
 
その真っ直ぐな目に
見詰められた瞬間
私は、瞬きをするのも
ままならなくなって
 
二人では
いけなくなった
 
 
たまに
ちらりと覗く、白に
更に魅せられて
離れることができない
 
しかしそれを見ると
私の口は
仄かに湿気を帯び
噛み付こうとしてしまう
 
これはしかし
どうしようもない
 
 
いずれ
食べてしまったときは
私を許してほしい
 
それすらも
愛だとして。
 
 
 
 
 


未詩・独白 蛙と蛇 Copyright 山中 烏流 2007-07-05 16:06:22
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