届け
柴田柴助

君がいた
ぽつんと君がいた
ぽつんとアイスクリームを食べていた

私もいた
ぽつんじゃないけど私がいた
がつんとアイスクリームを食べていた

チャンネルをまわす
君との出会いのチャンネルを
果てから果てまで
君の姿映るまで

モノクロの記憶が浮かび やがてぷつんと真っ暗に
届きそうで届かない
伸ばした右手がカツンと当たり
君には届かない

何故、何故

外は雨がざあざあと
私は目をゆっくり開く
ああ、何故モノクロだったのか
わかるはずもない

だけれども

本当はモノクロでもよかったのだ
本当にモノクロでよかったのに

願い届かず私はアイスクリームをほおばった
甘い、甘いバニラの味が広がった


自由詩 届け Copyright 柴田柴助 2007-07-05 11:05:27
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