林檎
桜井小春

私は林檎。

林檎は落ちた。

恋に落ちた。



ニュートンさん

私も疑問に思います。

何故

林檎は落ちるのでしょう?



落ちた私は

あなたが拾ってね。

まだ 実は青いけれども

あなたの手の中で

紅く色づいていきたいから。



手にした私を

齧ってみてね。

その酸味は

私の切なさよ。

その甘みは

私の仄かな幸せよ。



どうか

素通りしないで。

目にしたのなら

拾って

齧って

味わってよ。



いつか

あなたの手の中で熟せたのなら

その時は

甘い

甘い

ジャムになりましょう。

そして

あなたの朝食に

毎日

毎日

幸せを届けるの。



ね?

だから

拾って

齧って

味わってよ。



林檎は

何故

落ちたのでしょう?



そう

あなたのせいよ。





自由詩 林檎 Copyright 桜井小春 2007-07-04 21:05:18
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