正夢
灯和

 人形が、腐敗しかけている。


 鏡像の中に冷たい朝を探す
 体温の染みついた仮面は
 もう、いらない。


  若い頃の、母の口紅のように赤く
   水面に広がる
    正夢。


        「沈黙を敵に回すのは、やめて。」


   点滅する、駅の蛍光灯に
   群がっている。堕天使。


    嘘。


  時代が変わっていくという、自覚はあったのか。


 
愛した代償ならば、
 帰れなくなるから。


未詩・独白 正夢 Copyright 灯和 2007-07-04 13:28:11
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