世界の見つけ方
山中 烏流

底の少し剥がれた
スニーカーで、歩く
レンガに反射する光が
私をほんの少し
焼いている
 
とりあえず深呼吸
一回、二回
排気ガスは気にしない
それすらも
世界の一部だと
言って
 
 
行きつけのパン屋の
隣の隣
新しく出来た店に
今日はまだ、行かない
 
行列に並ぶほど
私は暇じゃない
今から少し
世界を、広げに行くから
 
 
 (世間ではそれを
 
 (暇、と
 (言うらしい
 
 
口笛を吹く
それに釣られて
小鳥がやってくる
 
電線の上から
一緒に歌い始める
私以外の誰も
そのことに、気付きはしない
 
 
木漏れ日の下で
ふと、歩みを止める
何かがあった訳でもなく
ただ、止まる
 
何で止まったのか
今日は考えないことにしよう
世界はまだ
こんなものじゃ、ない
 
 
 (半回転
 
 (もときた道を
 (戻る
 
 
木漏れ日から
そっと、体を取り出して
歩き始める
また一つ、深呼吸
 
いつの間にか
長く伸びた影が
一緒に
歩き始めて
 
 
夕日は
ただ、優しく
 
私を
 
見守っていた。


自由詩 世界の見つけ方 Copyright 山中 烏流 2007-07-03 07:15:26
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