ギグル
ねろ

僕の喉は小さな箱に入っていて
それはきっと小さなことだろうと思う

君の喉は箱には入っていないんだね
はじめて見たものをは、じ、め、て、
って声に出来るの?

夜になると夕焼けが歩道橋を歩いていたんだ

指?唄えるの?

いつも呟く言葉を忘れたからいつまでも

ど、う、し、て、               かな?

小さないたずら笑いを連れて帰る

ギグル

地平線に沈むのはきっと太陽だとか、
時間だとか、歴史だとか言ってるけど

僕の踏んだものが少しだけ透明に見えるんだ

それはきっとみんな他の人の指なんだろうって

な、ん、だ、ろ、う?

初めての言葉って覚えてる?

2個目の心臓があるから僕はどうしても死なない

喉笛締め付けられた時の気分を覚えてる

地、平、線、だ

きっと皆が心の奥で言葉を大事に使って
大好きに思っているものを押し殺す程

ギグルって分かってるそれだけ

蟻が歩くタイミングに合わせて下らなく笑う
指で数を数えてるのってまるで似合いもしないのに

つ、か、ま、え、て、
                         

帽子に目の色を少しだけ映し変えて
指が退化した分だけ時間は過ぎ去った

誰も知らない

ゆびさしだけで人は殺せる

発音だよ

わすれないでいたって

ゆ、び、さ、し、

合わせて笑うのは痛くて痒い

内緒

誰にも触れない指の色見つけたから

分からない時はきっと夕方だけだよ

僕も、

君も、


内緒でみんな退化していて
深海の色を真似している時に
僕は内緒でかすれている

その時の色を答えられるの?

あお!

楽しい色ってどんな色か教えてよ!

きいろ!


この世界で一番最後の色は

ギグル

君ひとり

違う人になった時の僕だ
そうでない時の僕は

癖なんか気にしない

たったひとりで歩いていくから

分かりやすいのは
分かられるところが少ないから

何かをとても大事にする時のそういう心をね

ギグル

君なんて僕ひとりも知らなかったんだ
誰も見ないように消えて行くのなら


ねえ

ねえ

ねえ

わかったよ?

色を踏む時の感触

僕と僕はひとりでいるけどほんとうはふたり
だから僕は死なないで雨の中を濡れているだけ

誰かが見つけたいちばん端っこは見なかったふりを続ける

いつも使う言葉を何から忘れたらいいのか分かんない
二人ぼっちの世界はなんとなく砂糖の匂いがした

ギグル

内緒で退化は進んでいる
僕の掌の小ささだ

二人で分け合う世界を考えていただけ

見つかりもしない鍵穴を探すみたいに
夕焼けを信じて背を向けてみるんだ

それがこわいこと  

華奢な爪先のライオンとキリンを見つけた


この世界は

雑多で大きくて邪魔なものばっかりで
僕は嘯いてその幅を広げている

そうだったよね例えば君ひとり僕を知らなかったら
ゆるく巻きついている日常が爛れていくことだけを知ってたみたいに
ミュールから世界ははみ出して水溜りを作っている


最初で最後の誤まり


ギグル

君を探し続けること
世界で最初に見つけた君を見つけたこと
ゆるくなって日常は続くから

それを唄っても尚歩き続けている
鼻歌を歌いながら
心配事はもう忘れた

ギグル・ミー

なんとなく世界が動き出す頃に
ねえ早く会いに行こうよ

言葉に不自由な青少年におすすめ!

今日の膝の上に載ってる楽しみは全部嘘で
明日もそれが続くことを知ってることを知っている

か、ら、

ポツリズムはイズムから剥がされていく

ろ、く、で、な、し、

僕のとまった指先で
頭文字だけが浮遊して
それを丸めて捨てる

現実なんかいらないんだ!
黒く笑っているいたずら模様のパンプキン
蹴って転がしたら世界の動く音が聞こえてきた

右に左に足音を踏み込む
リズム 縄跳びを跳ぶときみたいに

海賊の2個目の心臓を奪う
もしかしたら昨日に帰れるかもしれない事を
見ていたパンプキンボーイはいたずら笑いを連れて帰る


未詩・独白 ギグル Copyright ねろ 2007-07-03 03:59:57
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