花
わら
その花には名前はなく
道の隅に ひっそりと咲いていた
それをみつけた きみは
その花に名前をつけた
その花は、あたらしい「いのち」を与えられた
雨の日も咲き誇り
風の日も折れなかった
通りすぎる人たちは
それに気づいていたのだろうか
ぼくは何度か、その花をみかけた
きみがみつけた、その花を
やがて、その花は散ってゆき
だけど、それは
いのちを与えられたことを忘れなかった
最後に、風へ、
種をとばした
つきぬける青に、
その身を溶かして
きみのみつけた優しさが
また、どこかで花を咲かすんだな
名もなき花でも、かまわない
ときに、だれかがみつけてくれて
たとえば、きみが
名をあたえてくれるなら
この青空の先にまで
いのちの花の輪が、つながっていくんだ
そんな花に、ぼくはなりたい
そんな、あなたに出会えるなら
しおれそうな孤独に灯された
そんな想いは
きっと、きみが
あたえてくれたんだ