雨下
朱雀
雨 しゃらしゃら降りて
樋
(
とゆ
)
を伝い
渦巻きながら
かいしょに 落ちる天水
雨音 それは地に当たる音にあらず
ただ降る雨に音がある
そう言ったのは誰だったろう?
霞む山のむこうで
鷹は愁いの毛を立て
ゆるりと流るる時を待つ
雨粒に揺れる葉の裏には
蝶と孵るか 蛾と
生
(
な
)
るか
白い卵がみしりと連なり
カチカチと鈍る細胞にさえ
流れる時を刻み込む
雨 しゃらしゃら降りて
樋
(
とゆ
)
から溢れ
飛び散る飛沫は
やがて間もなく土に
沁
(
し
)
む
自由詩
雨下
Copyright
朱雀
2007-07-02 11:27:23