わたしの原点
池中茉莉花

高野悦子さん

わたしの二十一歳の原点は
あなたの『二十歳の原点』だった

孤独さは ともに生きる ひとが いる今は
あの頃とは 少し違うけれど

「未熟であること」
それは 今も 変わらない

きっと 四十になっても 五十になっても
仮に 九十に なったって
それは わたしの 原点でしょう


わたしは あのころ
未熟さを 絶えず 意識しながら
あなたのように 生きようと思った

それは あなたの属した組織に入るということではなく
「小さな人々」が幸せに暮らせる社会
争いごとがない社会
それを目指して
学び、かつ、血の汗たらして働こうと

でも あなたのように 死んでしまった
何回も 何回も 何回も

だけど それは わたしには 似合わなかった
きっと わたしらしい 死があるのでしょう

それでも あなたの思いは 忘れません

歴史の渦が わたしに向かって
えらで呼吸せよ と押しつけても
溺れたって 
ひたすら 鼻と口を 大気へと向けて
呼吸しつづける

それで たとえ 
人為的な津波に さらわれたとしても
わたしの 呼吸器官は 肺だもの

それだけは 曲げないで 生きていきます

二十一歳の わたしの原点を 変えることなく



自由詩 わたしの原点 Copyright 池中茉莉花 2007-07-02 07:07:46
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