悲しみはいつも
いすず

悲しみはいつも 雨の音に降る
空がとおく濁り あわいきらめきが陰る
強く打たれだす風 街路樹が狂うように

どんなに想っても 届かない 思いがある

悲しみはいつも とおい空に降る
荒れ狂う風に もっと荒れよと
吹き飛びそうな 街路樹のそばで

ひとりではかなわない 思いがある

悲しみにまどう風 ひとりでは知らなかったね
いつかこの思いが ひとつの白い階段になるまで
そばにいるから

出会いの奇跡も 別れの残酷さも
ぜんぶうけとめて いまいるから
あとすこしだけの やさしさが必要なの
枝が撓まないように

悲しみはいつも 哀しいものだけれど
いつかはその なにもない高みに飛ぶの
ひとりでいることに いつまでも慣れないわたしだけれど
心を分かち合うこと 知ったから
いまはもう こわくない


自由詩 悲しみはいつも Copyright いすず 2007-07-01 06:13:02
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