こっくりさん
美砂
放課後の学校は静かで
でもまだどこかにざわめきを隠していて
傾いてきた栗色の光が
少女たちの瞳を
大人びてみせる
窓は少しだけあけておかなければならなくて
そこから
教室じゅうに清新な風が吹き渡る
早馬みたいな風が
紙と鉛筆と十円玉といつものメンバー
それだけあればできる
すこしこわいこと
でもとっておきのこと
息を殺して
少女たちは
十円玉の描く軌跡だけを
追う
自分と自分じゃない力が
破裂しそうに拮抗している
だが、ふと、
動きが迷うと
ふるえる指先に
共犯めいた心が忍び込んでくる
少女らはそしらぬ顔で
麻薬に酔いしれる
神の意思は
かわいらしい小さな指のしたに
蹂躙される