地平線
結城 森士

盲目の地平に金属の悲鳴を響かせ
悲しみの影に歩みを合わせ
荒い呼吸を繰り返す
やがて風の音が消え
その夜空に星が瞬くことはない



彼は夜の影
螺旋階段を登っていく
頂上の鉄柵から幾千の雨粒が流れ出し
太陽に選ばれた黒い花を枯らす
盲目の地平に傘を差して下さい
孤独の中で震えている
沈鬱なシルエット

時折、裸足の重さを確かめる
悲しみは絶望の名の下に立ち止まり
旋回する全ての意識の中に広がっていく
そして黒い花は音も立てずに崩れ落ちていくのだろう



音という音が失われ
絶対的な声が失われ
僕達は絶望の名の下に流れ
涙に撃たれ
音もなく崩壊する
盲目の地平で
黒い花は何も言わずに崩れ落ちていくのだろう

声なき声

(どこへ連れて行くつもり)
(そうか 地平へ行くんだね) 
存在の


自由詩 地平線 Copyright 結城 森士 2007-06-28 00:57:22
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