畑の花
小原あき

隣の家の畑から
一輪の花が
「おはようございます」
挨拶をした

それは隣の家の
おばあちゃんの声に
そっくりで

腰は少し曲がっている
お辞儀草みたい
ちょん、と触ると
にこにこお辞儀をする

いくつもの距離を踏みしめた
二本の足
今は土に根を這って
肥やしを含んだ土から
栄養たっぷり
丈夫をもらっている

小さいのに活力に満ちていて
茎は太く
天辺にある頬はほんのり色づいて

その花は
日の出と共に動きだし
暑い昼間は
木陰でお茶を飲んでいる

たわいもない話は
彼女らの純粋が少女のまま

夕暮れの涼しい時間に
ちょこちょこと動き出して
夕餉の支度をする
それをひとつのいきがいとして


夏の畑には
かわいらしげな花が
せっせと野菜を作っている



自由詩 畑の花 Copyright 小原あき 2007-06-27 15:27:13
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