南 広一


真新しい緑を横切って
くろい雨雲の拡がってゆくのを
部屋から見上げて思うことといえば 
これから生まれ落ちようとする水 の
暗さとか、濃度とか。
おそろしくとおい日に
ひとはみな 水からうまれたんです、
その
くらい水からうまれた人 の ことなど。
耐えかねて、落ちる、重み、に
血のにおい であるとか 
鼓動のリズム であるとか
お互い似通ったものものを
感じることはやはりあるのだろう。

水を含んだ そら からゆっくりと
ひと が 落下をはじめる
雨音は
どこか遠い場所で
わたしたちの砕けるような音がする。






自由詩Copyright 南 広一 2007-06-27 11:17:35
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