eden
服部 剛
降りしきる
スコールみたいな哀しみを
突き抜けてゆく
Poetry
暴力の間に
道を切り開く
見えない力の
Poetry
愛欲の沼に溺れ
腐った屑のふぬけた顔が鏡に映る
湿った夜の
Poetry
愛する人が
姿を消したあの夜や
職場に棄てられ
呻いて泣いたあの夜さえも
この腕に抱きかかえてゆく
Poetry
暮れゆく薄闇の空が
一瞬 罅割れる
雷雨の地上をずぶ濡れのまま
走り続ける
Poetry
言葉よ、愛よ
胸に脈打ついのちの音よ
剣無き、裸の詩人の魂よ
跪き、雨の喜びを唄おう
暗闇の
遠い荒地の彼方には
たった一つの門があり
いつかくぐり抜ける向こう側に
ぼくの大事な人々が
肩を並べて唄ってる
eden
日常を
ピエロのふりして喜劇を演じる
ぼくが誰も知らない深夜に書いた
この詩を読んでいる あなた の
飾らぬ素顔がそこにある
eden
雨の日の唄歌い
気晴らしの口笛
千鳥足のダンス
この詩のなかにいるぼくは
時を越えて会いにゆく
詩集を開いた あなた がいる
eden