子どもの時間
なかがわひろか

学校とはまた違う場所へ
僕たちはいくつかの街を横断して向かいます
学校で習ったことと
大差ないことを
言葉を変えて教えてもらいます

この時間に僕たちはここにいる必要はないのですが
大切なのはここにいることであって
それ以上の理由はないのです
僕たちのお母さんやお父さんは
僕らがこの時間にここにいることで
たまらなく安心するのです

この場所での時間が終わると
僕たちはやっとお家へ帰ります
頭の中に叩き込まれた知識を
僕らは持って帰った用紙に
何度も何度も確認するために書き込みます
本当はそんなもの
とっくに覚えてしまっているのですが
真っ白な紙が知識で埋められるのを見て
またお母さんやお父さんが安心するのです

それが終わって
僕らは眠りにつきます
また明日も同じことが繰り返されることを確認して
僕らは眠りにつくのです

(「子どもの時間」)


自由詩 子どもの時間 Copyright なかがわひろか 2007-06-26 03:50:30
notebook Home