マリア
雨宮優希
カーテンの隙間 零れだす光の粒
もう少しゆっくり世界が周ればいいのに
この感情に名前を付けるのは辞めよう
この空間は 確かに生温く心地良い
此処が楽園だというのなら
今度は僕にも果実を分けておくれ
貴女と貪る罪の味なら きっと甘美に違いない
堕ちるならソラの果てまで ただ二人で
道徳に背こうとも 智に跪こうとも
血を通わせて 体中で感じさせて
愛してるなんて野暮なこと言わないでね
あの白い月のせいにでもして
瞳を閉じてしまいたい また今夜まで
口先だけの言葉や 時計の針などもういいから
その甘い果実を僕にも分けてよ
出来たら口移しで 食べさせておくれ
ねぇ マリア