欠けた記憶 〜低学年〜
doon
私は 笑った
痛いから痛いといって泣くよりも
苦しいから苦しいといって泣くよりも
おかしい人間みたいに
笑っていれば
自分ごと嘘をついてしまえば
そっと
息をしているのも楽になる
僕以外の人も 楽しくなる
今の僕を消そうとする僕も
泣いて微笑むぐらい楽しくなる
自ら身体を痛めつけ
殴られやすい所へ逃げ込んで
あとはじっと待っていれば
隠れているから
見つけて狩りが始まる
大人は誰かを殴っていることに気づかない
ばれなければ
いつまでも いつまでも―― ――――いつまでも
自分ごと無いって事にできる
不意に
堪えられないほど 寂しくなって
泣きそうになった
それを見た女の子が言った
「やめればいいのに」
僕を否定した
僕の居場所を否定した
僕も知っていたけど
僕にはできなかった
僕は笑えなかった
僕が消えていきそうだった
僕に居場所をくれなかった人が
僕から居場所を奪おうとした
あの部屋隅の角っこにいけるから
殴られることもできるし、痛くて自分じゃないって学校で言える
唯一の場所なのに
何も知らない言葉が
後ろに隠してあったちょっとの場所さえも
剥ぎ取られてしまった
ボクハ ドウシタラ ドウシタラ スコシダケラクニナルノ?
漠然とした死
やり方は分からないけど
これから向かっていこう
闇よりも
絶望よりも
消えてしまう方が
綺麗に 足跡も残さず 何もかも 吐いた息さえも 完全に消えてしまうことの方が
幸せだ
きっと楽しいんだと
そう思い
僕はまだかすかに残っている学校の居場所で
その先の夢を
グルグルのカーテンの中で描いた
アアシタイ
コウシタイ
コウシニタイ