言い訳
ユメアト

ひっそりと胸で眠ってたそれは
泣き明かして、幾らか水分を失った体のどこからか
ひとすくいのオアシスを見つけて
いつのまにか根を張っていた
絹に似た根がゆっくり体の中を支配していくのは
しっとりした手に手を握られるのと、
ほんの少しだけ似ている

*

足先、指先、舌の先までも、
白い根が、呼吸をするたびに
侵食していくので
蚕の糸を少しずつ巻き取っていくようにして
糸に似た、でももっとしなやかで強い根を
乱暴に毟るか
そうでなきゃ、そのまま体ごと湿った土の中に埋めて欲しい

*

泣き喚くばかりで、ただの一歩も動けなかった。
根を張って大地に繋ぎとめるまでも
なかったのに

立ち止まる言い訳が一つ増えるだけだよ


自由詩 言い訳 Copyright ユメアト 2007-06-23 00:23:32
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