京都八ツ橋
Rin K





  宇治橋

夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――

  観月橋

しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名

   ・
   。
   ・

  賀茂大橋

夕立に
うたかた
うたかた
またはじけ
夏の隙間で瞬きひとつ

   ・
   。
   ・

  高瀬橋

浅き瀬とからだは乾けど
太陽は譲れはしないと
契るこのゆび


  三条大橋

托鉢に行き交う人の心触れ
かすかに染みる涼やかな音が

   ・
   。
   ・

  一条戻橋

目を閉じるように眩んで迷うなら
来てはくれぬか手の鳴るほうへ

   ・
   。
   ・

  渡月橋

ふわり、つう
あれは蛍か
振り向いて差し伸べた手が放つぬくもり




  夢浮橋

忘られぬ瞳にらわれそうになり
渡れずにいる夢のうきはし










短歌 京都八ツ橋 Copyright Rin K 2007-06-23 00:21:10
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