京都八ツ橋
Rin K
  宇治橋 
夕霧にかすみつ渡る面影に 
露けき花の色が重なる――― 
  観月橋 
しめやかに 
欠け満たされぬ夕月の 
心を以ってなぞる君の名 
   ・ 
   。 
   ・ 
  賀茂大橋 
夕立に 
うたかた 
うたかた 
またはじけ 
夏の隙間で瞬きひとつ 
   ・ 
   。 
   ・ 
  高瀬橋 
浅き瀬とからだは乾けど 
太陽は譲れはしないと 
契るこのゆび 
  三条大橋 
托鉢に行き交う人の心触れ 
かすかに染みる涼やかな音が 
   ・ 
   。 
   ・ 
  一条戻橋 
目を閉じるように眩んで迷うなら 
来てはくれぬか手の鳴るほうへ 
   ・ 
   。 
   ・ 
  渡月橋 
ふわり、つう
あれは蛍か
振り向いて差し伸べた手が放つぬくもり
  夢浮橋 
忘られぬ瞳に虜らわれそうになり 
渡れずにいる夢のうきはし