雨音
健
壊すような音が絶え間なく響いている
そんな夕暮れ時
雨が好きだという彼女の
その視線は常に窓の外に向けられ
屋根の付いた部屋の中
足元から濡れていくのに気付かない
玄関先に飾られた傘は
開くことなく
ただ静かに雨の匂いを部屋へ運んでいる
防ぐためでなく
歩くための道具だと
大きく書かれた文字が その内側で滲んで行った
自由詩
雨音
Copyright
健
2007-06-22 23:44:32